税理士の山本です。
「新卒と中途、どちらで会計事務所に入るべきでしょうか?」
学生さんからこんなご質問をいただきました。
まず結論からお伝えすると、どちらも正解です。
新卒の切符が使えるのは1回だけですので、迷うなら一般企業に就職した方がいいかもしれません。
(ご家族を安心させるために、新卒で一般企業に勤めてから、会計業界に転職なさった方もいますので)
ちなみに、会計業界に入ってくる方は、転職組の方がはるかに多いです。
肌感覚でいうと、8:2くらいではないでしょうか。
一般企業に入るメリットをあげると、
・入社時に研修を受けることができる
・社会人として常識が身に着く(ビジネスマナー等)
・同期入社の友人ができる
・大規模な組織で働いた経験が身につく
・就職した分野における専門知識が身につく
などでしょう。
ちなみに、会計事務所は、一般企業のように研修制度が整っているところはほぼありません。
そもそも新卒を採用・教育しようという事務所が少ないのが実情です。
また、「先輩の背中を見て覚えろ。」という昔ながらの風土の事務所もあるため、
会計業界しか経験がない方の中には、残念ですが、ビジネスマナーがない人もいます。
そういった意味では、ビジネスマナーをはじめとして、
「社会人になるため」に新卒の切符を使って一般企業に就職するというのは合理的な判断です。
一方、「必ず税理士になる」と決めている方は、新卒で会計事務所に入ったほうが効率的です。
(ちなみに、私はこちらを選択し、研修制度の整っている国内最大手の事務所に入社を決めました)
新卒で会計事務所に入るメリットは、
・知識、経験を若いうちに身に着けることができる
(一般的な転職組より、5年以上早く経験を積むことができます。
どんなキャリアプランを描くにしろ、1日でも早く学びはじめることはそれだけでアドバンテージです。)
・税理士になるというモチベーションを保てる
(一度一般企業に入ってしまったら、「転職してでも税理士になる」という気持ちを保ち続けるのは難しいこともあるでしょう。実際、それが理由で税理士をあきらめたという方も知っています。
また、もし安定した企業に勤めていた場合、転職時に家族に反対されることも考えられます。)
税理士は専門職であり、会計、税務、労務、法務、財務など習得すべき知識・経験は多岐に渡ります。
専門家として必要な知識・経験を体系的に習得するのに、少なくとも5年はかかります。
そういった意味で、「必ず税理士になる」と決めている方は、新卒で会計事務所に入ったほうが効率的です。